2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増率が5割に引き上げられます
月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が現行の25%以上から50%以上に引き上げられます。
今後、50%の割増率で残業代を支払うか?
または
時間外労働を月60時間を超えないような職場環境に整えるか?
中小企業に問われると思います。
短時間労働者に対する健康保険厚生年金保険の適用拡大
①事業の規模が常時500人超
②週の所定労働時間が20時間以上
③賃金が月額88,000円以上
④勤務期間が継続して1年以上使用される見込み
⑤学生ではないこと
令和4年10月からは
①事業所の規模が常時100人超
②週の所定労働時間が20時間以上(変更なし)
③賃金が月額88,000円以上(変更なし)
④勤務期間が継続して2カ月を超えて使用される見込み
⑤学生ではないこと(変更なし)
に改正され、
更に令和6年10月からは
①事業所の規模が常時50人超
②週の所定労働時間が20時間以上(変更なし)
③賃金が月額88,000円以上(変更なし)
④勤務期間が継続して2カ月を超えて使用される見込み(令和4年10月の改正と同じ)
⑤学生ではないこと(変更なし)
に改正されます。
注意点として
※「労働時間」の『週の所定労働時間が20時間以上』において
週の「所定労働時間」とは、就業規則、雇用契約書等により、その者が通常の週に勤務すべき時間のことです。
1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動する場合は平均により算定します。
※「賃金」について
週給、日給、時間給を月額に換算したものに各諸手当等を含めた所定内賃金の額が8.8万円以上である場合となります。
但し、次に掲げる賃金は除きます。
【除外対象】
① 臨時に支払われる賃金および1月を超える期間ごとに支払われる賃金(例:結婚手当、賞与等)
② 時間外労働、休日労働および深夜労働に対して支払われる賃金(例:割増賃金等)
③ 最低賃金法で算入しないことを定める賃金(例:精皆勤手当、通勤手当、家族手当)
※「適用除外」の『学生でないこと』とは
大学、高等学校、専修学校、各種学校(修業年限が1年以上の課程に限る)等に在学する生徒または学生は適用対象外となります。
但し、次に掲げる方は被保険者となります。
【対象者】
① 卒業見込証明書を有する方で、卒業前に就職し、卒業後も引き続き同じ事業所に勤務する予定の方
② 休学中の方
③ 大学の夜間学部および高等学校の夜間等の定時制の課程の方等
尚、事業所の規模(常時労働者数が)改正後の規模を超えない場合は、従来の「1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上」が引き続き適用されます。
傷病手当金の支給される期間が変わりました。
改正前は支給を開始した日から1年6ヵ月(途中、出勤して給与支払いを受けた期間も1年6ヵ月に含まれていた)でしたが、途中出勤して給与支払いを受けた期間を含めず、欠勤し給与支払いを受けていない期間を通算して1年6ヵ月となりました。
但し、支給を開始した日が令和2年7月1日以前の場合には、これまでどおり支給を開始した日から最長1年6ヵ月です。
外国人雇用のル-ル
届け出なければなりません。
具体的には雇い入れの際は
◆雇用保険の被保険者となる外国人について届け出る場合
従来の雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)に
被保険者氏名(ローマ字)
在留カ-ドの番号
在留期間
国籍・地域
在留資格
等を記入し提出します。
因みに退職した場合は様式第4号となります。
◆雇用保険の被保険者とならない外国人について届け出る場合
外国人雇用状況届出書(様式第3号)に
同様の必要事項を記入の上提出しなければなりません。
雇用保険マルチジョブホルダ-制度 令和4年1月1日から施行
従来の雇用保険制度は、
主たる事業所での労働条件が週所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込み等の適用要件を満たす場合に適用されます。
これに対し、雇用保険マルチジョブホルダー制度は、
複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者がそのうち2つの事業所での勤務を合計して以下の適用対象者の要件を満たす場合に、
本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度です。
加入後の取扱いは通常の雇用保険の被保険者と同様で、任意脱退はできません。
① 複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
② 2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること
③ 2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること
健康保険法等の一部改正に伴う国内居住要件の追加 令和2年4月1日施行
但し、留学生や海外赴任に同行する家族等の日本国内に生活の基礎があると認められるものについては国内居住要件の例外(以下、「海外特例要件」という。)として、被扶養者(異動)届または第3号被保険者関係届を届出いただくことで、被扶養者の認定が可能となります。
海外特例要件として該当するケースは以下の(1)から(5)となり、該当する場合には当該事実を証する添付書類が必要となります。
(1)外国において留学をする学生
⇒査証(ビザ)、学生証、在学証明書、入学証明書等の写し
(2)外国に赴任する被保険者(国民年金第3号被保険者を扶養する国民年金第2号被保険者を含む。以下同じ。)に同行する者
⇒査証(ビザ)、海外赴任辞令、海外の公的機関が発行する居住証明書の写し
(3)観光、保養またはボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者
⇒査証(ビザ)、ボランティア派遣期間の証明、ボランティアの参加同意書等の写し
(4)被保険者が外国に赴任している間に当該被保険者との身分関係が生じた者であって、(2)に掲げる者と同等と認められる者
⇒出生や婚姻等を証明する書類等の写し
(5)(1)から(4)までに掲げる者のほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者
⇒個別に判断
また次のように、海外転出した時や国内転入した時には日本年金機構への届出が必要です。
(1)被扶養者が海外特例要件に該当する場合
例)被扶養者となっている妻や子どもが、夫の海外転勤の同行家族として出国した
(2)海外在住の方が、被扶養者認定と同時に海外特例要件に該当する場合
例)海外勤務している被保険者と現地で結婚した
(3)海外特例要件に該当している被扶養者が、海外特例要件に非該当となる場合
例)夫の同行家族とし出国していた妻や子どもが、夫の国内転勤により帰国した
海外特例要件に該当している方が海外居住のまま海外特例要件に該当しない渡航(労働目的、渡航先への永住等)となった場合は、被扶養者でなくなります。
産前産後休業期間中の社会保険料の免除 意外と間違いやすいケ-ス
本人から申し出があれば産前42日前から休業することができますが、出産直前まで労務に従事する女性社員もいらっしゃいます。
妊娠中すべての期間が免除となるわけではなく、また、出産前の42日間であっても働いていた場合は免除の対象とはなりませんので注意が必要です。
マイナンバ-と基礎年金番号の結びつき
しかし、マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない場合は、氏名等の変更情報が得られないため、被保険者の氏名等に変更があった際は、引き続き氏名・住所変更届等を提出する必要があります。
この「マイナンバー」と「基礎年金番号」が結び付いているかどうかはどうやって確認すればよいか?
実はほとんどの社員についてマイナンバーと基礎年金番号は結び付いてます。
実は会社宛てに社員のマイナンバーを確認する資料が送られてきています。
表題は「マイナンバー等確認リスト」と「マイナンバー未収録者一覧」となっていましたが、どちらもマイナンバーを確認する資料となっています。
「マイナンバー未収録者一覧」は、その時点でマイナンバーと基礎年金番号の結びつきが確認できていなかった者が記載されていました。
「マイナンバー未収録者一覧」に名前がなかった、もしくはその時に会社が回答していれば、社員全員のマイナンバーと基礎年金番号が結び付いているということになります。
また住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)により、各種行政の基礎である住民基本台帳の4 情報(氏名/住所/性別/生年月日)、個人番号と住民票コード、これらの変更情報についてネットワーク化を図り、全国共通に電子的な本人確認ができる仕組みもあり、これによりマイナンバ-と基礎年金番号が結びついている場合もあります。
本当にマイナンバーと基礎年金番号が結び付いているかどうかを確認したい場合、社員本人ならば「ねんきんネット」もしくは「ねんきん定期便」で確認することが可能です。
住民票コードの収録状況が「収録済」となっていれば結び付いています。
逆に収録状況に(ー)と入っている場合は、結び付いていないということになります。
また適用事業所管轄の年金事務所に電話等で問い合わせしていただくと、社員個人の「基礎年金番号とマイナンバ-」が結びついているかどうかを確認することができます。
改正高年齢者雇用安定法が令和3年4月から施行
高年齢者就業確保措置について
65歳までの雇用確保 (義務)
70歳までの就業確保 (努力義務)
70歳までの就業確保措置を講じることが「努力義務」となったことに伴い、 再就職援助措置・多数離職届等の対象が追加されます。
<対象となる事業主>
・定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主
・65歳までの継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除 く。)を導入している事業主
<対象となる措置>
次の①~⑤のいずれかの措置(高年齢者就業確保措置)を講じるよう努める 必要があります。
① 70歳までの定年引き上げ
② 定年制の廃止
③ 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
※特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む
④ 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤ 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
※ ④、⑤については過半数組合等の同意を得た上で、措置を導入する必要があります(労働者の 過半数を代表する労働組合がある場合にはその労働組合、そして労働者の過半数を代表する労働 組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の同意が必要です。)。
第20条 解雇の予告
1.使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。
30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。
但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
2.前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
3.前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。
使用者が労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前に予告をしなければならず、またその解雇予告は、解雇日について何年何月何日というように特定しておかなければなりません。
解雇予告手当を支払わず、労働者を即時に解雇できるのは、次の事由により行政官庁の認定を受けた場合です。
これを「解雇予告除外認定申請」と言います。
認定を受ければ、解雇の効力は認定を受けた日ではなく解雇の意思表示をした日に発生します。
1.天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合(この場合は、解雇制限期間中の労働者であっても解雇できる)。
2.労働者の責に帰すべき事由(この場合は、解雇制限期間中の労働者は解雇できない)。
除外認定は、次の場合に受けることができると例示されていますが、具体的には個別に判断されます(昭和23年11月11日基発1637号、昭和31年3月1日基発111号)。
1.事業場における盗取、横領、傷害など刑法犯に該当する行為のあった場合(原則として極めて軽微なものを除く)
2.賭博、風紀紊乱等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合
3.雇い入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合
4.他の事業場へ転職した場合
5.原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合
6.出勤不良または出欠常ならず、数回に渡って注意を受けても改めない場合
失業給付 自己都合退社の場合の給付制限期間の改正
令和2年10月1日以降に退職された方については、「5年間のうち2回までは給付制限期間が2か月」になります。
※ 令和2年9月30日までに正当な理由がない自己都合によりで退職された方は、給付制限期間が3か月となります。
※ 自己の責めに帰すべき重大な理由で退職された方の給付制限期間はこれまでどおり3か月となります。
令和2年度 地域別最低賃金改定状況
東京都は1,013円のまま据え置かれました。
令和2年度地域別最低賃金改定状況
社会保険労務士安川事務所 | |||
都道府県名 | 最低賃金時間額【円】 | 発効年月日 | |
北海道 | 861 | (861) | 令和元年10月3日 |
青 森 | 793 | (790) | 令和2年10月3日 |
岩 手 | 793 | (790) | 令和2年10月3日 |
宮 城 | 825 | (824) | 令和2年10月1日 |
秋 田 | 792 | (790) | 令和2年10月1日 |
山 形 | 793 | (790) | 令和2年10月3日 |
福 島 | 800 | (798) | 令和2年10月2日 |
茨 城 | 851 | (849) | 令和2年10月1日 |
栃 木 | 854 | (853) | 令和2年10月1日 |
群 馬 | 837 | (835) | 令和2年10月3日 |
埼 玉 | 928 | (926) | 令和2年10月1日 |
千 葉 | 925 | (923) | 令和2年10月1日 |
東 京 | 1,013 | (1,013) | 令和元年10月1日 |
神奈川 | 1,012 | (1,011) | 令和2年10月1日 |
新 潟 | 831 | (830) | 令和2年10月1日 |
富 山 | 849 | (848) | 令和2年10月1日 |
石 川 | 833 | (832) | 令和2年10月7日 |
福 井 | 830 | (829) | 令和2年10月2日 |
山 梨 | 838 | (837) | 令和2年10月9日 |
長 野 | 849 | (848) | 令和2年10月1日 |
岐 阜 | 852 | (851) | 令和2年10月1日 |
静 岡 | 885 | (885) | 令和元年10月4日 |
愛 知 | 927 | (926) | 令和2年10月1日 |
三 重 | 874 | (873) | 令和2年10月1日 |
滋 賀 | 868 | (866) | 令和2年10月1日 |
京 都 | 909 | (909) | 令和元年10月1日 |
大 阪 | 964 | (964) | 令和元年10月1日 |
兵 庫 | 900 | (899) | 令和2年10月1日 |
奈 良 | 838 | (837) | 令和2年10月1日 |
和歌山 | 831 | (830) | 令和2年10月1日 |
鳥 取 | 792 | (790) | 令和2年10月2日 |
島 根 | 792 | (790) | 令和2年10月1日 |
岡 山 | 834 | (833) | 令和2年10月3日 |
広 島 | 871 | (871) | 令和元年10月1日 |
山 口 | 829 | (829) | 令和元年10月5日 |
徳 島 | 796 | (793) | 令和2年10月4日 |
香 川 | 820 | (818) | 令和2年10月1日 |
愛 媛 | 793 | (790) | 令和2年10月3日 |
高 知 | 792 | (790) | 令和2年10月3日 |
福 岡 | 842 | (841) | 令和2年10月1日 |
佐 賀 | 792 | (790) | 令和2年10月2日 |
長 崎 | 793 | (790) | 令和2年10月3日 |
熊 本 | 793 | (790) | 令和2年10月1日 |
大 分 | 792 | (790) | 令和2年10月1日 |
宮 崎 | 793 | (790) | 令和2年10月3日 |
鹿児島 | 793 | (790) | 令和2年10月3日 |
沖 縄 | 792 | (790) | 令和2年10月3日 |
全国加重平均額 | 902 | (901) | - |
※括弧書きは、令和元年度地域別最低賃金
厚生年金保険の標準報酬月額の等級区分の改定
雇用調整助成金
政府からの自粛要請もあり、休業を余儀なくされた企業に対し、従業員を休業させた場合の休業手当について政府は雇用調整助成金を用意しています。
先ずは休業計画届を作成提出し、その後に支給申請手続きへと移ります。
今回のコロナウイルスに対する処置としてかなり事務手続きも簡素化されました。
詳しくはこちらをご覧ください。
雇用調整助成金ガイドブック簡易版
定年は60歳を下回れない
労働基準法ではありません。
実は『高年齢者等の雇用の安定等に関する法律』から来ています。
第8条 (定年を定める場合の年齢) において
事業主がその雇用する労働者の定年(以下単に「定年」という。)の定めをする場合には、当該定年は、60歳を下回ることができない。
但し、当該事業主が雇用する労働者のうち、高年齢者が従事することが困難であると認められる業務として厚生労働省令で定める業務(鉱業法第4条に規定する事業における坑内作業の業務)に従事している労働者については、この限りでない。
とされています。
また、第9条 (高年齢者雇用確保措置) においては
定年(65歳未満のものに限る。以下この条において同じ。)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げる措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)のいずれかを講じなければならない。
一 当該定年の引上げ
二 継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入
三 当該定年の定めの廃止
労働時間の適正な把握のために
しかし、労働時間の把握に係る自己申告制の不適正な運用に伴い、割増賃金の未払いや過重な長時間労働といった問題が生じている等、使用者が労働時間を適切に管理していない現状も見られます。
本来、使用者には労働時間を適正に把握する責務があります。
労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録しなければなりません。
単に1 日何時間働いたかを把握するのではなく、労働日毎に始業時刻や終業時刻を使用者が確認・記録し、これを基に何時間働いたかを把握・確定する必要があります。
では、始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法とは?
① 使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。
② タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。
が挙げられます。
①の「自ら現認する」とは、使用者自ら、あるいは労働時間管理を行う者が、直接始業時刻や終業時刻を確認することです。
尚、確認した始業時刻や終業時刻については、該当労働者からも確認することが望ましいです。
②については、タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基本情報とし、必要に応じて、例えば使用者の残業命令書及びこれに対する報告書等、使用者が労働者の労働時間を算出するために有している記録とを突き合わせることにより確認し、記録することも必要でしょう。
尚、タイムカード、ICカード等には、IDカード、パソコン入力等も含まれ、最近では、パソコンをたち上げる時間を業務開始時間としたり、パソコンをシャットダウンする時間を終了時間にする例も見られます。
第19条 解雇制限
労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間
並びに
産前産後の女性が第65条の規定により休業する期間及びその後30日間
は、解雇してはならない。
但し、使用者が第81条の規定によって打切補償を支払い場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合は、この限りではない。
② 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。
時間外労働等の上限が法制化
これからは法律で残業時間の上限を定め、これを超える残業ができなくなります。
要するに、上限を超えた場合は、企業側に罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。
ここが大きな違いです。
中小企業は2020年4月から施行となります。
[改正のポイント]
① 時間外労働(休日労働は含まず)の上限
月45時間
年360時間
臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることはできなくなります。
② 臨時的な特別の事情があって、労使が合意する場合(36協定届にて、特別条項を設けます)であっても
時間外労働 年720時間以内
時間外労働+休日労働 月100時間未満、
時間外労働+休日労働 2~6か月平均80時間以内
(「2カ月平均」「3カ月平均」「4カ月平均」「5カ月平均」「6カ月平均」が全て1カ月当たり80時間以内)
とする必要があります。
③ 原則である月45時間を超えることができるのは、年6カ月まで
※上記の「月45時間」「年360時間」は、1年単位の変形労働時間制を適用させる企業について、「月42時間」「年320時間」と読み替えます。
最低賃金の対象となる賃金は?
最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。
具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。
(1) 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
(2) 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
(3) 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
(4) 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
(5) 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
(6) 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
諸手当の内、通勤手当だけでなく、精皆勤手当てや家族手当も対象とならないのがチェックポイントです。
令和元年度地域別最低賃金改定状況
令和元年度地域別最低賃金改定状況 社会保険労務士安川事務所
都道府県名 | 最低賃金時間額【円】 | 発効年月日 | |
北海道 | 861 | (835) | 令和元年10月3日 |
青 森 | 790 | (762) | 令和元年10月4日 |
岩 手 | 790 | (762) | 令和元年10月4日 |
宮 城 | 824 | (798) | 令和元年10月1日 |
秋 田 | 790 | (762) | 令和元年10月3日 |
山 形 | 790 | (763) | 令和元年10月1日 |
福 島 | 798 | (772) | 令和元年10月1日 |
茨 城 | 849 | (822) | 令和元年10月1日 |
栃 木 | 853 | (826) | 令和元年10月1日 |
群 馬 | 835 | (809) | 令和元年10月6日 |
埼 玉 | 926 | (898) | 令和元年10月1日 |
千 葉 | 923 | (895) | 令和元年10月1日 |
東 京 | 1,013 | (985) | 令和元年10月1日 |
神奈川 | 1,011 | (983) | 令和元年10月1日 |
新 潟 | 830 | (803) | 令和元年10月6日 |
富 山 | 848 | (821) | 令和元年10月1日 |
石 川 | 832 | (806) | 令和元年10月2日 |
福 井 | 829 | (803) | 令和元年10月4日 |
山 梨 | 837 | (810) | 令和元年10月1日 |
長 野 | 848 | (821) | 令和元年10月4日 |
岐 阜 | 851 | (825) | 令和元年10月1日 |
静 岡 | 885 | (858) | 令和元年10月4日 |
愛 知 | 926 | (898) | 令和元年10月1日 |
三 重 | 873 | (846) | 令和元年10月1日 |
滋 賀 | 866 | (839) | 令和元年10月3日 |
京 都 | 909 | (882) | 令和元年10月1日 |
大 阪 | 964 | (936) | 令和元年10月1日 |
兵 庫 | 899 | (871) | 令和元年10月1日 |
奈 良 | 837 | (811) | 令和元年10月5日 |
和歌山 | 830 | (803) | 令和元年10月1日 |
鳥 取 | 790 | (762) | 令和元年10月5日 |
島 根 | 790 | (764) | 令和元年10月1日 |
岡 山 | 833 | (807) | 令和元年10月2日 |
広 島 | 871 | (844) | 令和元年10月1日 |
山 口 | 829 | (802) | 令和元年10月5日 |
徳 島 | 793 | (766) | 令和元年10月1日 |
香 川 | 818 | (792) | 令和元年10月1日 |
愛 媛 | 790 | (764) | 令和元年10月1日 |
高 知 | 790 | (762) | 令和元年10月5日 |
福 岡 | 841 | (814) | 令和元年10月1日 |
佐 賀 | 790 | (762) | 令和元年10月4日 |
長 崎 | 790 | (762) | 令和元年10月3日 |
熊 本 | 790 | (762) | 令和元年10月1日 |
大 分 | 790 | (762) | 令和元年10月1日 |
宮 崎 | 790 | (762) | 令和元年10月4日 |
鹿児島 | 790 | (761) | 令和元年10月3日 |
沖 縄 | 790 | (762) | 令和元年10月3日 |
全国加重平均額 | 901 | (874) | - |
※括弧書きは、平成30年度地域別最低賃金です。
第12条 平均賃金
これが基本です。
但し、賃金が労働した日もしくは時間によって算定され、または出来高払制その他の請負制によって定められた場合においては、賃金の総額をその期間中の労働した日数で除した金額の100分の60とします。
また、平均賃金の算定の期間は賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算します。
算定の期間中に、次の各号の一つに該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、算定の期間及び賃金の総額から控除します。
1 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間(業務災害)
但し、通勤災害の場合は、控除しない。
2 産前産後の女性が第65条の規定によって休業(産前産後休業)した期間
3 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間
4 育児休業又は介護休業をした期間
5 試みの使用期間
また、雇入れ後3箇月に満たないものについては、3箇月ではなく、雇入れの期間とします。
第7条 公民権行使の保障
但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。
尚、公民権の行使に係る時間を有給とするか無給とするかは当事者の自由に委ねられ、無給でもよいとされています。
第4条 男女同一賃金の原則
個人的能率による差別は違法とはなりませんが、一般的平均的に女性労働者の能率の低い故をもってする差別は違法です。
尚、差別的取り扱いをするとは、不利に取扱う場合のみならず、有利に取り扱う場合も含みます。
第3条 均等待遇
ここで「賃金、労働時間その他の労働条件について」とありますが、本条は労働者の雇入れそのものを制約する規定ではないことは付け加えておきます。
年5日の年次有給休暇
施工日 平成31年4月1日以降に年次有給休暇が10日以上付与される労働者が対象です。
よって、平成31年4月より前に10日以上の年次有給休暇を付与している場合は、使用者に時季指定義務が発生しないため、年5日確実に取得させなくても法違反とはなりません。
また「年次有給休暇が10日以上付与される労働者」とありますが、この「10日以上」とは、前年度から繰り越した年次有給休暇の日数は含まれず、当年度に付与される法定の年次有給休暇の日数が10日以上である労働者が義務の対象者となります。
② 年5日の時季指定義務
労働者ごとに年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、取得時季を指定して年次有給休暇を取得させなければなりません。
③ 時季指定方法
労働者の意見聴取しなければならず、聴取した意見を尊重するよう努めなければなりません。
④ 時季指定を要しない場合
既に5日以上の年次有給休暇を請求し取得している労働者に対しては、使用者による時季指定をする必要はなく、することもできません。
⑤ 年次有給休暇管理簿
使用者は労働者ごとに、年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。
時季、日数、基準日を労働者ごとに明らかにした書類(年次有給休暇管理簿)を作成し、当該年休を与えた期間中及び当該機関の満了後3年間保存しなければなりません。
⑥ 就業規則への規定
休暇に関する事項は絶対的必要記載事項なので、使用者は年次有給休暇の時季指定を実施する場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲及び指定時季の方法等について、就業規則に記載しなければなりません。
⑦ 罰則
②⑥に違反した場合は、罰則が適用されることがあります。